編集部コラム/トリストラムとイゾルデ!その異説とは!!
書き手:垂直落下式しゃれこうべライターM(Twitter)
夢の第2幕が開演か!
中野たむが人生2度目のトロフィー獲得!!
ってことで昨日の7月14日!
アメリカの女子プロ団体・RISEからやってきたレスラーとスターダム勢とのトーナメント戦で、
たむが優勝を掴み取r【編集シューティング】
編集U「本編が長いから早く始めろ!!!」
そ、それは間違いない……!
んでは!
今回来日した海外勢ではバイパー推し、SRSライターMです!!
さてさて始まりますよエピソードトーク!
今回はむか~し掲載しましたトリストラムとイゾルデの物語!
の、カットしたシーンやら異説ENDやらをご紹介ですよ!!
改めて読み直したら異説もそこまでドロドロなお話ではなかったのは、んまあご愛嬌!!
そして久しぶりに長いですよ!!
【目次】
おさらいですよ †
以前掲載したお話とは言え、トリストラムとイゾルデのエピソードは、
2016年の3月掲載と、なんと2年以上前のことでございますよ!
さすがに内容はうろ覚えの方が多いことでしょう!
とは言え敢えて読み直すのも骨が折れるはず!
一応リンク貼っておきますけど!!
詩人は歌う!悲恋のトリストラムとイゾルデ!!(前編)
詩人は歌う!悲恋のトリストラムとイゾルデ!!(後編)
さて、お話を忘れちゃった、あるいはそもそも読んでいない方のために!
ざ~っくりとお話の大筋を見ていきますよ!
悲しみの名を背負って †
マルク王の甥として生を受けたトリストラム!
離れた地で生まれた彼は、ひょんなことからマルク王の治めるコーンウォールの地へ!
身元を隠していたトリストラムでしたが、マルク王はどこか懐かしさを感じさせる彼を寵愛しました!
そんな折、アイルランドから貢物を催促する使者として、マロースが襲来!
マロースとの決闘に挑み、死闘の末に勝利をつかんだトリストラム!
しかし、コーンウォールに平穏をもたらした彼もマロースの手によって死の際へと追いやられていました!
快復の兆しが見えないことを嘆いたトリストラムは彼の姿に涙するマルク王に願い、
自分を乗せた小舟を海へと放ってもらいました!
が、運命は皮肉にも彼の小舟を敵地アイルランドへと運びます!
しかし、毒がトリストラムを変貌させていたおかげで彼の正体を悟るものはなく、
彼は美しい黄金の髪を持つアイルランド王女・イゾルデによってその傷を癒されたのです!
毒が抜けて容姿ももとに戻るころ、トリストラムはなんとかアイルランドを脱してコーンウォールへ!
しかし、燕が運んできた黄金の髪の持ち主である乙女とのみ結婚するというマルク王の発言によって、
トリストラムはイゾルデを連れ帰るために再びアイルランドへ戻ります!
そして、アイルランドへ渡ったトリストラムは人々を恐怖に陥れていたドラゴンを退治し、
アイルランドとコーンウォールの友好関係を復活させるとともに、
マルク王の妻となるイゾルデを勝ち取ったのでした!
イゾルデの母親は娘とマルク王、年の離れたふたりが無事に結ばれるように恋の秘薬を作り、
これをイゾルデの侍女・ブランクウェインに託しました!
が、偶然に偶然が重なり、コーンウォールへ渡る船の中で、
イゾルデとトリストラムが秘薬を飲んでしまい、恋の炎はすぐさま燃え上がります!
そんなこんな、大いに波乱がありながらもトリストラムはマルク王のもとにイゾルデを連れ帰り、
彼女の美貌を見初めたマルク王はすぐさまイゾルデを妻としたのでした!
と!
ここまでは前回お話しした内容とほぼ同じですね!すでに長い!
んでは、まずイゾルデが疑心暗鬼になってとんでもないことをしでかしたエピソードをどうぞッ!
疑心暗鬼のイゾルデ †
マルク王の妻となってなお、イゾルデの心はトリストラムに、
そしてトリストラムの心も同様にイゾルデのもとにありました。
いつかマルク王がふたりの関係に気づくのではと、イゾルデは気が気ではありません。
そうして道ならぬ恋で罪の意識に苛まれたイゾルデは、恐ろしい考えに至ってしまいます。
「誰も私とトリストラムのことを知りはしない。そう、ブランクウェイン以外は。
あの子がいなくなってしまったら、私たちの秘密は永遠に守られるはずだわ」
編集U「その発想はいらなかった……!」
ブランクウェインは秘薬事件以来、
トリストラムとイゾルデの関係を隠すために尽力していますからね……!
これはさすがにかわいそうというもの!
ある日、イゾルデはふたりの奴隷を呼び出して言いました。
「あなた方にひとりの乙女を託しましょう。
彼女を森の奥深くで殺し、その証として彼女の舌を持って来なさい。
そうそう、殺す前に彼女の犯した罪も聞きだすのです。
そうすれば、あなた方を奴隷の身分から解放し、褒美も与えましょう」
編集U「またド下衆な方法に出たな……」
その後、ブランクウェインを呼んだイゾルデは、
奴隷ふたりを伴って薬草を摘んでくるように頼みます。
それが自分の命を狙う策とも知らず、ブランクウェインはこれを快諾します。
ブランクウェインを森の奥へ奥へと導いた奴隷たちが刀を抜き、
もはや逃げることが叶わぬことを知ると、彼女は観念してその場にひざまずきました。
そして、奴隷たちに何か犯した罪はないかと問われると、こう答えました。
「私が犯した罪、それは私がコーンウォールへと渡る船の上で、
イゾルデ様の肌着を破ってしまい、イゾルデ様がマルク様との初めての夜に、
私めの肌着を身に着けることになってしまったことです」
編集U「おや……?」
そう、ブランクウェインは死の間際にあっても、
イゾルデとトリストラムの秘密を守ろうとしたのです!
何と言う忠誠心!!
しかも実際のところ、イゾルデは船の上でトリストラムに純潔を捧げているのですが、
それを誤魔化すために、なんとマルク王との初夜にはブランクウェインが身代わりとなり、
自身の純潔をマルク王に捧げていたのですよ!
編集U「……バレなかったのか……?」
く、暗闇のなかでのことだったそうですから……!
これを聞いた奴隷たちは拍子抜けです。
まさかそれだけのことでこの娘は殺されようというのか、
そう悩んでいると、ブランクウェインは言葉を続けます。
「イゾルデ様がその罪をお許しにならないとしても、
どうかこれだけはお伝えください。
幼いころに海賊にかどわかされた私をイゾルデ様の母君が買い取られ、
イゾルデ様にお仕えするようになってから、私のことを目にかけていただいたこと、
そのことへの感謝はかたときも忘れたことはありません、と!」
編集U「聖人か……!」
奴隷たちもブランクウェインに同情すると、
代わりに近くにいた野犬を殺し、その舌をイゾルデのもとへ持っていきました。
「ご命令通り、乙女の命は奪いました。これがその証です」
しかしこの言葉を聞くと、イゾルデは激高します。
「誰が殺せと言いましたか!
私のブランクウェインを返しなさい!!」
編集U「!?」
ハイパー何言ってんの状態ですが、
おそらく時間が経つにつれて自分の行いを後悔した結果なのでしょう!
編集U「迷惑すぎるわ!!」
その後、奴隷のひとりがブランクウェインを迎えに行き、
イゾルデとブランクウェインは再会すると涙ながらに抱き合ったのだとか!
編集U「ブランクウェインがいい人すぎる……!」
ま、まぁ恋に溺れる前はイゾルデも善人だったっぽいですから……!
怒りの炎と逃避行 †
さて、ブランクウェインが危うく命を落としかけつつも、
トリストラムとイゾルデの禁断の恋は密かに続きます!
んが、ふたりの密会はついにマルク王の知るところとなり、
彼は耐えがたい怒りに身を震わせます!
マルク王は処刑場にイバラを敷き詰めた火刑台を作り、
ここにトリストラムとイゾルデを連行しようとします。
ふたりは民衆にもよく愛されており、人々は揃って言いました。
せめて彼らの申し開きを聞くべきだ、と。
しかし怒りに狂ったマルク王は聞く耳を持たず、
すぐさま刑を執行しようとします。
しかし、トリストラムは連行される途中、教会に立ち寄ると、
その窓から崖に身を投げ、奇跡的に生き延びることに成功しました。
業を煮やしたマルク王はイゾルデを火刑台に引き連れますが、
そこにらい病、現在で言うハンセン病を患った者たちが現れます。
「王様、火刑は良くないなあ。
それよりも、私ら病人の暮らす小屋に姫君を住まわせなさいな。
そうすれば、炎に焼かれて死んだほうがいくらもマシだったと後悔することでしょうよ」
自分を裏切ったイゾルデには長い苦しみが相応しい。
そう考えたマルク王は、男の言う通りにイゾルデを彼らに受け渡しました。
編集U「これはこれでエグいな……!」
病によって腫れ、ただれ落ちた男の顔を見たイゾルデは絶望しましたが、
彼らが王城を離れたところでトリストラムと彼の配下がこれを見つけ、
イゾルデを無事に救い出します。
その後、追跡を恐れたトリストラムたちは森へと逃れ、
まるで野生に戻ったかのような暮らしを送りますが、
トリストラムとイゾルデはふたりでいられることを喜んでいました。
ちなみに、森で暮らすうちにトリストラムが作った弓は決して目標を逃さず、
“無駄なしの弓”、すなわちフェイルノートと呼ばれたのでした。
編集U「おー、ここでフェイルノートか」
意外にも戦より狩りに使う弓だったんですね!
この後悪人を撃ち殺すのにも使ったようです、が!
尺的にそのシーンはカット!!
さて、この後しばらく森での暮らしを満喫したトリストラムたちですが、
ある日ふたりが眠っているあいだに、彼らに気づいた者の密告で、
マルク王がふたりのもとを訪れるのでした。
すぐさま剣を振り上げたマルク王でしたが、
ふたりが密着して寝ておらず、そのあいだには抜身の剣が置かれていることに気づきます。
当時、抜身の剣は純潔の象徴とされており、
そこでマルク王はふたりの関係に疑問を抱きました。
そして、置かれていた剣を自分のものとすり替え、
またイゾルデの指から自分が与えた指輪を抜き取り、
逆にイゾルデからもらった指輪を彼女の指にはめ、その場を去りました。
つぎの日、目を覚ましたトリストラムたちは、
剣や指輪からマルク王が来ていたこと、
しかし自分たちを殺さなかったことに気が付きます。
これを受けて、ふたりは改めて正しい行動は何かと考え、
トリストラムはマルク王に、妻であるイゾルデを返すことを決意するのでした。
さて、ここまではどの説でも大体同じパターンなのですが、
これ以降が説によってまったく異なる展開なのですよ!
一番メジャーな白イゾルデENDルートは2016年公開のコラムで確認していただくとして、
ここからは別の2バージョンをお届けですよ!
パターンB:愛の恨みは消えず †
心を決めたトリストラムは、イゾルデを連れてマルク王のもとへと戻ります。
マルク王はイゾルデを迎え、トリストラムのことも改めて配下としました。
人々は安心し、王国には平和が戻るかとも思えました。
しかしある日、唐突に悲劇は起きます。
城の庭にある大きな木の下で、トリストラムがイゾルデのために竪琴を弾いていたとき、
トリストラムの背中に突如槍が突き立てられ、貫通した槍はイゾルデの眼前で止まりました。
トリストラムの血を浴びたイゾルデが意識を失う前に見たのは、
血の滴る槍を手に持ち、怒りに燃えた目でトリストラムの亡骸を見つめるマルク王の姿でした。
【BAD END】
その後イゾルデとマルク王がどうなったのか、気になりますよね!
でもね!!
日本語の文献で続きを書いているものが見つからない!!
編集U「ねぇのかよ!!」
どうも『散文のトリスタン』という作品でこのルートが描かれているようなのですが、
この邦訳版がないっぽいような!
ご存知の方がいましたらぜひ教えてくださいな!
ただ、マルク王が悪役になるのはさすがに不憫だったのか、
初期の作品以外だと基本的に白イゾルデルートになっている印象ですね!
そうしてもうひとつのルートとは!
パターンC:葉は茂るか落ちるか †
もうひとつのルートでは、マルク王とトリストラムが和解しようとするも、
イゾルデについてだけは両者譲らず、ここでマルク王の親戚である、
アーサー王がことを収めるのにひと役買います!
編集U「アーサー王の出番あったのか」
この説はレアパターンな気もしますが!
さておき、アーサー王は言いました!
「木々が葉を付ける季節と付けない季節、
一方ではマルク王が、また一方ではトリストラムがイゾルデを自由にできる。
これでいかがかな」
そして、イゾルデがこの裁定に納得すると、
もともとイゾルデを妻としていたマルク王に選択権が与えられました!
すると、マルク王は木々に葉の付かない季節を選びます!
編集U「ちなみに理由は?」
秋冬は夜の時間が長いですからね!
まぁ、そういうことですね!!
編集U「こっちも不憫なキャラになってる気が……」
しかし!
この選択を知ったイゾルデは大喜び!
アーサー王が理由を聞くと、彼女は嬉々として答えました!
「ヒイラギ、キヅタ、イチイの三種は常緑樹。
冬のあいだでも葉を茂らせていますわ。
これで私はトリストラムが生きているあいだ、彼のものです!」
編集U「ありなのかそれは!!」
ま、まぁ誰に木の選択権があったのかが謎なのですが、
結果としてトリストラムとイゾルデは幸せに暮らしましたとさ!!
【HAPPY END...?】
あとがき †
ってことでね!
トリストラムとイゾルデ、アナザーバージョンでしたよ!
やっぱり長い!!
しかしこれでもカット祭ですので、
ぜひとも本で読んでいただきたいお話ですよ!
通常の白イゾルデルートなら『トリスタン・イズー物語』、
とんちで金イゾルデ大勝利ルートは『ケルト神話の世界』で読めますよ!
編集U「マルク王の刺殺ルートは?」
一応『アーサー王の死』に載っていますが、
数行でマルク王がトリストラムを殺したことが載っている程度でしたね!
あとは頑張って英語文献を読んでみてくださいな! 英語の勉強にもなりますしね!
そして意外と英語の勉強になるものと言えば!
そう、プロレスですね!!
ってことで、スターダムトークの始まりですよォー!!
14日のスターダムは昼夜のダブルヘッダー!
昼の部では岩谷麻優とスターライト・キッドがシンクロ率400%なステレオのその場飛びムーンサルトを披露!
どちらも背中の反りがグンバツですよォォー!!
そして一方、16日の後楽園ホール大会や22日の大阪大会で王座戦を控えた
前哨戦として組まれた試合にことごとく勝利!
ベルト総獲りを掲げる女王たちが短期間で有限実行なるか!?
どの王座戦もめちゃくちゃ楽しみでしかたn【編集キャノンボール】
編集U「ん長いわッッ!!!」
こ、これでも2割以下、です、よ……!バイアランッ
【次回はギリシア……?】 †
コラムで取り上げてほしいキャラ、行ってほしい特集はいつでも募集中! 「この騎士ってどんな活躍したんだろう?」 「この妖精って元ネタあるのかな?」 「SRSと編集Uの考える○○ベスト5ってどんな感じ?」 などなど、『乖離性』で攻略に関係ない疑問があれば当コラムのコメント欄へ書き込んでください! SRSが可能な範囲で調べて取り上げます! 皆さまのコメント、お待ちしています! |
過去のキャラコラム一覧 †
参考文献 †
ベディエ編(1953)『トリスタン・イズー物語』(佐藤輝夫訳) 岩波書店.
キャクストン,W編(1986)『アーサー王の死 中世文学集Ⅰ』(厨川文夫・厨川圭子訳) 岩波書店.
ブレキリアン,ヤン(1998)『ケルト神話の世界』(田中仁彦・山邑久仁子訳) 中央公論社.
前回のコラム
【垂直落下式ランキング】語り継げ、その良さを!~伝承編~【垂直落下式しゃれこうべライターM】
意外と扱っていなかった伝承カード、お好みはいずれか!
ストーリー性のあるイラストもいいですよねェ~!!
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