編集部コラム/サンタクロースの弟子
本日の書き手:ドM男性ライターY
前回のあらすじ
慣れないクリスマスに戸惑う僕は、その道のプロ、サンタクロースに弟子入りを志願することに。クリスマスのいろはを学び、女の子たちのハートをゲットすることができるのか!?
「師匠! なにか、なにかクリスマスにモテるようになる秘訣はありますか!?」
「ホーホーホー! まずは、飾り付けじゃの!」
「飾り付け……ですか?」
「そうじゃ。クリスマスと言えば飾り、つまり“しょうめい”じゃ! 今なら特別に1個5シルバーで売っておるよ」
ぐぬぬ……商魂たくましいサンタクロースというのもなんだかイヤだが、ここは素直に従っておくことに。
↑各色の“しょうめい”で師匠の家を飾り付け。結構な出費だぞこれ……。
「師匠、これでどうでしょうか!?」
「ホーホーホー! 結構! だが、まだまだじゃ。なにが足りないのかのう……」
と言いながら僕の服装をジロジロと眺めてくるサンタクロース師匠。これはもしや……!
「そうじゃのう……、服装、かのう……。うむ、服装に違いない。今ならたったの45ゴールドなんだがのう……、これがないと、クリスマスにモテることはむずかしいかのう」
なんてこったい! もはや資本主義の奴隷だよこの人! だが、背に腹は代えられない。僕は泣く泣く高い金を払ってサンタのコスプレをすることに。
「これでいいんでしょう、これで!」
「ひーふーみー、儲かった……、じゃのうて、なかなかのモノだの。あとはプレゼントを配ってくれば、ナウなギャルのハートはバッチリゲットじゃ! ほれ、行ってこい!」
大量のゴールドコインを数えるサンタクロースを尻目に、僕は冬の夜空に飛び立ったのだった。
まずは女の子たちに愛を届けに!
師匠の言葉に従い、僕は愛しのハニーたちの家を飾り付けつつ、プレゼントを置いていくことにした。
↑ナースちゃんにはラグジュアリー感あふれる“ほしのゆびわ”を。そっぽを向いているが、きっとこれはアレだ、ツンデレってやつだな!
↑ドライアドさんには“ジャングルのかみかざり”を。なんかロハスな雰囲気が漂うお姉さんだし、天然自然のアクセサリーはきっと喜んでくれるはず!
↑明るくてサバサバしているメカニックちゃんには“ひまわり”を! 彼女のイメージにもぴったりだ!
どういうわけかみんな無反応だったけれど、きっと明日になったら僕にべた惚れになっているハズ! これでひとまずは作戦終了だが……。
野郎どもにもプレゼントをやろうじゃないか!
男連中にプレゼントをあげるというのは気が乗らないが、誰にでも優しい公平さが女の子たちのハートをキャッチするに違いない!
↑“しょうにん”には食物繊維たっぷりげなキノコを。“ひかるきのこ”か“じゃあくなきのこ”のどっちか確認しなかったけど、気にしない気にしない!
↑ガイドには“くさったにく”を。憶測ながら正体が肉関係だし、“うまそう”に食ってくれるに違いない。
↑ほらほら、念願の“ガイドのにんぎょう”だよ! 是非、地底世界で使ってみてほしい!
↑やっぱりあんたにはこれしかないよな……兄弟! “ダイナマイト”でハデに逝こうZE☆
が、下に住んでいるドライアドさんのことをすっかり忘れていた……!
↑やばい……これ絶対ドライアドさん怒ってるよ……! あとで家は修繕するので、許してください!
↑そして最後はメカニックちゃんを幽閉していた極悪人の元へ。フフフ……最高のナイトメア・クリスマスをくれてやる!
↑ふははははっ! 逃げ惑え! メカニックちゃんの痛みを思い知れ!
が、これまた上の階に当のメカニックちゃんが住んでいることをすっかり忘れていた……! 今度ワイヤーいっぱい買うんで許してくださいっ!
おもしろうて やがて悲しき 聖夜かな
ちょっとしたトラブルもあったけれど、初めてのサンタクロース体験としてはワリと上手くいったんじゃないかと思う。そんなこんなで師匠の元に帰ると……。
↑なんと、ブラッドムーンが襲来! すでに僕が駆けつけたときには虫の息で……。
さようなら、師匠。資本主義を体現したようなガメツサには辟易したけど、あんたから買った衣装、大事にするよ……! なんてホロリと感傷に浸っていたら……。
まだ稼ぎ足りないのかこの人は! いいですか皆さん、愛はお金では買えません。そう……思いやりの心とか思い出とか……プライスレスなものこそが必要なのです。それこそが、女の子のハートをゲットする秘訣なのですよ?
……はいそこ、説得力がないとか言わない!
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