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セバスチャンの手記・一覧

考察について

 時間軸について、最後の“セバスチャンの手記”である“内部監査記録”が 2013年3月13日付けとなっているので、劇中時間をそれ以降の2013年と仮定する。

 また、セバスチャンの誕生日は明言されていないので、年度が変わり次第、年齢を重ねたとする。

セバスチャンの手記 2004月11月

ようやくゴールドバッジを手に入れた
─セバスチャン・カステヤノス刑事─
悪くない響きだ
昇進までは長い道のりだったが
周りは異例の早さだと言う
勤務開始が待ちきれない
俺にとって 刑事は転職だ
何より あの制服を着なくていい
給料アップも悪くない
……KCPDは もっと多くの助けを必要としている
近頃は事件が多過ぎる
このクリムゾンシティを守るのが 俺の仕事だ

入手場所

 CHAPTER.2 セーブルームへの鏡のある小屋

考察

 セバスチャンの年齢は、この時点では26歳。若かりし彼は、刑事という職務への憧れと、平和を守るということを信条としていたようだ。

 彼の国籍は明言されていないが、“尋ね人の手記”に記載されている電話番号が「1」から始まる国番号であることを考えるに、同作はアメリカ国内であると考えることができる。

 これに則れば、昇進にあたってバッジを与えられる制度がアメリカの警察にある。同国の警察は日本のようなキャリア制度がなく、全ての警察官は巡査など最下級の役職から仕事をスタートさせる。
 
 つまり、「あの制服」とは巡査の制服=コネリーが来ている青い制服のことを指すと思われる。
 
 なお、手記に頻出する「KCPD」とは「Krimson City Police Department」、つまり「クリムゾンシティ・警察局」のこと。
 
 また、本作の核となる失踪事件かどうかは定かではないが、10年ほど前のクリムゾンシティの治安もあまり良くなかったようだ。
 

セバスチャンの手記 2004月12月

刑事としての初の勤務日

俺の新しいパートナー マイラ・ハンソン
粘り強く勤勉で 怒らせたやつは痛い目に遭う
いい女だが 彼女といるときは油断できない
今日も 彼女の尻を眺めているのが
バレそうになった

入手場所

 CHAPTER.3 村の右手民家1階、セーブルームへの鏡のある部屋

考察

 同年12月、セバスチャン26歳。後の妻となるマイラ・ハンソンとの出会い。

 刑事として初の勤務日に出会った彼女は、「有能で魅力的な同僚」というポジションだったと思われる。

 作中の時間軸では女性を女性として評することがない(いやらしい目で見る描写が全くない)セバスチャンだが、当時はそれなりだったようだ。もしくは、マイラが非常に美人で、仕事一本のセバスチャンが、思わず「尻を眺めて」しまうほど魅力的だった可能性もある。

セバスチャンの手記 2005月2月

今日の午後 マイラが殺されかけた
俺たちが追跡中だった犯人に撃たれた
その場に俺がいて良かった
彼女は きっと回復するだろう

血を流している彼女を見ながら 俺は考えていた
自分の気持ちも伝えないまま彼女を失ったとしたら
俺には耐えられない
きっと 彼女だって同じように感じているはずだ
俺の勘が そう訴えてくるんだ

こんなのは俺らしくもないが 彼女に気持ちを
伝えなければ
グズグズしている場合じゃない

入手場所

 CHAPTER.4 スタート地点右斜め前の民家、セーブルームへの鏡のある部屋

考察

 セバスチャンは27歳。セバスチャンとマイラが日夜死と隣り合わせの犯罪と戦っていることが読み取れる。

 また、12月1日からマイラとパートナーを組んだとすれば、彼女に惚れてここまで思うまでに要した時間は約3ヶ月。その間に、どれだけ彼女と公私共に濃い時間を過ごしたかが伺える。

「きっと 彼女だって同じように感じているはずだ」「俺の勘が そう訴えてくるんだ」と、ひとりで完全にのぼせてしまっている。とはいえ、セバスチャンは「勘と経験を重視しがちだが有能」ということもあり、結果として彼女のハートを射止めることに成功している。

セバスチャンの手記 2005月3月

悪いニュースがひとつ
パートナーが変えられた
良いニュースがひとつ
マイラが イエスと言ってくれた

悪いニュースの方も そう悪くはない
ジョセフは素晴らしい刑事で
お互い上手くやれそうだ
クリムゾンシティには もっと彼のような
頼りになる男たちが必要だし
一緒に働けることを 光栄に思っている

……ときどき まるで船底に穴の開いた
ボートに乗って バケツで水を掻き出している
ような気分になる
ひとつ事件を解決しても 別の10件が
待ち受けている
KCPDは市民を犯罪から守る盾だが……
それは時に ひどくちっぽけに思える

入手場所

 CHAPTER.5 スタート地点、セーブルームへの鏡のある部屋、机の上

考察

 セバスチャンは27歳。どういった経緯かは不明だが、マイラとのパートナーは解消(マイラが異動になったか)、ジョセフとパートナーを組むことになる。
 
 マイラへの告白、もしくはプロポーズは成功し、文面から喜びが滲み出ている。

 ジョセフのことを「素晴らしい刑事」「お互い上手くやれそうだ」「頼りになる男」「一緒に働けることを 光栄に思っている」とあるように、出会った時点にも関わらず非常に評価が高い。また、この評価は作中時間まで継続しており、ジョセフがいかに有能でセバスチャンと相性が良いかがわかる。

 また、この記述からは作中でも非常に頼りになるジョセフの有能さを垣間見ることができる。

 なお、ジョセフの年齢は作中時間で33歳、セバスチャンの2つ下だ。“セバスチャンの手記 2004月11月”にあるように、26歳のセバスチャンが刑事になった時点でも、「異例の早さ」と言われていたとある。

 ジョセフがいつ刑事になったかは明かされていないが、少なくとも本手記の25歳の時点で刑事ということは判明しており、セバスチャンの昇進が「異例のスピード」ならば、ジョセフの場合は「天才のそれ」と言うにふさわしい。

 最後の記述にはクリムゾンシティの治安について触れ、事件を解決しても次の事件が起こる、という刑事特有のジレンマを吐露している。

セバスチャンとマイラの結婚式の招待状

セバスチャン・カステヤノス
マイラ・ハンソン

この度 わたしたちは結婚することになりました
心ばかりの祝宴に ご臨席賜りますよう
お願い申し上げます

日時 2005年9月17日 午後12:30〜
場所 The Veranda Hotel, Krimson City

レセプションは挙式後となりますので
こちらもご出席お願い申し上げます

入手場所

 CHAPTER.5 ラウラ戦前、セーブルームへの鏡のある部屋、ベッドの上

考察

 当然ながら、結婚式の招待状を送るのは結婚式より前のこと。マイラと出会ったのが2004年の12月、プロポーズが成功したのが2005年2月、そして式が同年の9月ということを考えると、かなりの早さで式にまでこぎ着けていることが分かる。

 レセプションとは結婚披露宴のこと。セバスチャンは「人間関係は不器用」という記述がクリア後に開放されるモデルビューアーにあるため、そこまで知人友人を呼ぶようなイメージはないが、マイラの方はどうだっただろうか。

 いずれにせよ、警察関係者が多く出席し、2人の幸せを喜んだのではないか、と思われる。

セバスチャンの手記 2006月5月17日

マイラと結婚して8か月
二人の愛の結晶 それが君だよ リリー
あと2か月で君に逢える
早く君の顔が見たい

ただ 正直ちょっと不安だ
仕事では 多くの危機に遭い乗り越えてきたが……
自分が父親になるという現実は やはり慣れん

俺が生きている限り 全てを捧げて君を愛し
守ることを誓う
この人生の新たなステージでも
俺は変わらないやり方で向き合いたいと思う
全身全霊をかけ ベストを尽くす
お母さんとお父さんは 君をとても愛しているから
安心してほしい
時には厳しい世の中だけど 君を迎えられる日が
待ち遠しくてたまらないよ

入手場所

 CHAPTER.6 サディスト撃破後、セーブルームへの鏡のある部屋

考察

 セバスチャンは28歳。冒頭から、既に子煩悩なパパになりそうな雰囲気を醸し出している。とはいえ、今まで仕事一辺倒だったこともあり、自分が父親になることに対する実感は、あまり沸かないようだ。

 また、生まれる前からすでに名前が決まっているあたり、夫婦仲はかなり良好のようだ。全ての文中から娘リリーへの愛が溢れている、作中ではまずお目にかかれないセバスチャンの心情が読み取れる。

リリーの誕生カード

名前: リリー・リン・カステヤノス
誕生: 2006年7月18日 午前9時56分
体重: 7ポンド3オンス
身長: 14インチ
両親: セバスチャン&マイラ・カステヤノス

入手場所

 CHAPTER.7 カタコンベ、中央にオブジェのある大部屋の右手、セーブルームへの鏡のある部屋

考察

 セバスチャン28歳。念願の長女を授かることになる。

 リリーの体重は7ポンド3オンス、これはグラムに換算すると約3260グラム。そして14インチは約35.56 ㎝。

 あくまで日本のデータではあるが、厚生労働省が発表した平成13年度の新生児(女子)の平均体重は3160グラム、そして身長は49センチ。

 リリーの身長、体重はこれよりも大幅に大きく、身長と体重のバランスを見るに相当にふくよかかつ健康的な赤ちゃんだったことが想像できる。
 

セバスチャンの手記 2009年6月16日

今朝はリリーを幼稚園まで送ってきた
初登校の日
リリーは物怖じせず 新しい環境にすぐに
慣れたようだ
この3年はリリーにつきっきりで
マイラも大変だったと思う
これで彼女も ちょっとは楽になるだろう

楽になる といってもKCPDの行方不明者
捜索担当に復帰するという意味だが
行方不明者の数が増え続けている
このままだと 全市民が行方不明者に
なってしまうペースだ

大げさかもしれないが この街で何かが
起きているのは間違いない
マイラの能力は怖ろしく高いし
仕事に復帰できてモチベーションも高い
きっと彼女が捜索の力になってくれるだろう

入手場所

 CHAPTER.8 マルセロとの会話イベント後、ストレッチャーの上

考察

 セバスチャンは31歳。作中でホーンテッドたちと死闘を繰り広げる彼からは想像できないが、幼稚園までの送り迎えもする良いパパだったようだ。

「この3年はリリーにつきっきり」という記述から、マイラは子育てのために休職していたと思われる。そして、手記としてははじめて、本作のキモとなる「行方不明者の捜索」について触れられている。「復帰する」という記述から逆算するに、記述にはないが3年前の時点で、マイラが行方不明者の捜索担当だったことがわかる。

 本作開始時点(2013年と仮定)でも未だ行方不明者の事件が後を絶たないことから、長い間未解決の事件だったということになる。

 なお、行方不明者の事件=ルヴィクの実験のための誘拐事件と思われる。

Krimson Cityの新聞記事のクリッピング

悲劇的な火災 少女と乳母が死亡
2012年2月11日

昨日午後 クリムゾン市郊外のパークリッジの
住宅街で火災が発生した
すぐに消防が駆けつけ必死の消火活動を
行ったが 家屋は全焼
少女とベビーシッターの命が失われた

リリー・カステヤノス(5歳)と
ベビーシッターのファニータ・フローレス
(56歳)は 家屋を呑み込んだ煙と炎によって
逃げることができなかった
亡くなった少女の両親はともにKCPDに勤務する
刑事で 現場に駆けつけたがすでに手遅れだった

消防による消火活動は 数時間に及んだが
家屋は全焼した
出火原因は不明だが 電気配線のショートに
よるものと思われる
<8面につづく>

入手場所

 CHAPTER.9 洋館一階、大扉横のセーブルームへの鏡がある部屋、洗面台の上

考察

 セバスチャンは34歳。娘の突然の死について。ベビーシッターを雇っていたのは、マイラが職場に復帰していたからだろう。

「家屋が全焼するほどの出火」「数時間の消火活動」というところから、かなりの大規模な火災であったことがわかる。電気配線のショートという新聞の憶測に、セバスチャンもマイラも納得がいかなかったに違いない。

セバスチャンの手記 2012年2月27日

友人や戦友が死んでいくのは 何度も見てきた
自ら選んだ仕事には付き物だ
決して慣れたりはしない
しかし 我が子を失う辛さは 比べものにならない
なかったことにできるなら 俺は100万回
死んでもいいのに
小さな棺が地面の下に降ろされたとき
俺はとてつもない無力感に襲われた
この心の痛みには これ以上耐えられない
そうするべきではないという自覚はあったが
この数週間は酒を飲まないと眠れなかった

マイラのことが心配だ
最初のショック状態が過ぎて
嘆き悲しむ彼女の様子は……普通じゃない
ひとりきりになりたがり 一晩中眠らない
悲劇を忘れるために仕事をしていると言うが
まるで現実から 逃れようとしているみたいだ
子供を失った夫婦が どうなるかは知っている
そうならないようにこの苦難を マイラとともに
乗りこえたい

入手場所

 CHAPTER.10 トラウマを倒した後のセーブルームがある部屋、機械の上

考察

 セバスチャン34歳。娘を失い、悲嘆に暮れる。刑事という職業柄、多くの同僚の死に立ち会ってきた彼でも、娘の死からはすぐには立ち直ることができなかった。

 また、CHAPTER.6のジョセフの証言からわかるように、酒に溺れ始めた原因は娘リリーの死と思われる。

 母であるマイラの悲しみはセバスチャン以上であったことは想像に難くなく、今まで多くの辛酸を舐めてきたであろうセバスチャンをして「普通じゃない」とまで言わしめるほどだった。

 だが、マイラの「悲劇を乗り越えるために仕事をしている」「現実から逃れようとしている」という行動は、恐らく娘の死の真相を究明すべく、動いていたと思われる。

セバスチャンの手記 2012年7月11日

あの事故から半年が経った
マイラとの距離が どんどん開いていくように
感じる
俺がしっかりしなければいけないのに
ウィスキーに溺れて考えるのを止めてしまう
……仕事に影響さえ出なければ
それは俺の個人的な問題だ

あの事故について やっとマイラが口を
開いてくれた
彼女のことが ますます心配になってきた
マイラが誇大妄想に取り付かれ
心が壊れかけているとしても
あるいは彼女が正常で その主張通りに
“あの火災は単なる事故ではない”としても
……いずれにせよ 救われない話だ
できれば彼女を信じたいが
もしそれが事実なら……
俺は犯人を 絶対に許さない

入手場所

 CHAPTER.11 オフィス内、セーブルームのある部屋、棚の上

考察

 
 セバスチャン34歳。ここでは自らはっきりと「ウィスキーに溺れて」と明言しており、酒の力を借りていることに対する自覚と自責が見られる。とはいえ、CHAPTER.6でもジョセフに対して言った「仕事に影響さえでなければ」というところを見るに、ある意味開き直ってしまっている。また、このような考え方はアルコールに呑まれた人間によく見られる言い訳のひとつである。

「マイラが誇大妄想に取り付かれ」の部分から、マイラが荒唐無稽のことをセバスチャンに伝えたということになる。恐らく「娘の死は、巨大な組織の陰謀」という旨のことをセバスチャンに話したということになるが、彼にとってはにわかには信じられる話ではなかった。

 だが手記などを総合的に見るに、マイラの主張は正しかったということになる。とはいえ、彼女は決して冷静に捜査をしていたわけではなかっただろう。有能な刑事でもマイラとはいえ、彼女もひとりの母であり、「心が壊れかけている」という記述からするに、相当に精神的に危うい状態であったことが想像できる。

セバスチャンの手記 2012年8月

ただでさえプライベートと仕事で限界なのに
新米の教育係まで押し付けられた
キッドマンは若くて青臭い
最近の新人によくある権利意識が彼女にもある
俺が少しでも“ルールから外れた”ことを
するたびに 何か言いたげな顔で見る
教科書通りのやり方だけではダメだということを
理解しようとしない

性格的には 冷淡で よそよそしい
俺たちの動きを見てバックアップに回るのが
彼女の仕事だが まるで実験台を見る研究者の
ように感じるときがある
俺たちから学ぶというより
ただ“観察している”ように……
自分のなかの何かが 彼女に警報を発している

ジョセフは俺が気にし過ぎだと言う
もしかしたら 彼女に惚れているのかもしれない
とにかく彼女といるときは注意を払わねば

入手場所

 CHAPTER.11 マネキン工場後、セーブルームに繋がる部屋の床

考察

 セバスチャン34歳。娘の死、妻との関係、自身のアルコールへの依存とプライベートがギリギリなときに、新人のキッドの教育係になったことに対する不満が綴られている。

 「よそよそしく冷淡」など、ジョセフのときとは違い、彼の中での評価は決して高くない。また、「権利意識」とは「自分の権利を主張する」という意味でもあり、キッドは「自分の立場だとこれをするべきだ、これができるはずだ」と主張していたに違いない。確かに、上司としては一番教育したくない類いの、やっかいな部下ではある。

 とはいえ、作中では先行しそうになるキッドを押しとどめ、自ら危険に飛び込んだり、トラップにかかった彼女を必死に助けようとしていたりするところからは、彼女をきちんと「仲間」として扱っている。これから作中の事件が起こるまでに、彼女のことを認めた可能性もあるし、セバスチャンが私見と仕事を分けるタイプだとも考えられるが、恐らく両方であろう。

 なお、「俺たちから学ぶというより“観察している”ように……」そして「彼女に警報を発している」というあたり、単に鼻持ちならない新人だとも見なしていない。もちろん、これはセバスチャンの「勘」ではあるのだが、キッドが事件の犯人=ルヴィクのことを「彼」と呼んでいたり、CHAPTER.15ではどこかの組織の人間と繋がっていることを匂わせていたところから、彼の直感は結果として正しかった、ということになる。

 なお、ジョセフに対して「彼女に惚れているのかもしれない」と記載してあるが、ジョセフは既婚者であり、性格は真面目一辺倒であり、考えにくい。セバスチャンなりのジョーク、もしくは疑心暗鬼にかかってしまっている可能性が高い。

セバスチャンの手記 2012年9月1日

マイラが居なくなった
もう何日も連絡がない
職場にも報告したが 彼らは俺が
おかしくなったとでも思っているようだ
彼女の車 コンピューター 私物の一部が
無くなっている
犯罪の臭いは どこにもない
誰もが 俺に愛想を尽かしただけだと思っている

俺の酒癖を批判するやつもいる
……それをマイラの失踪と関連付けようとしている
彼らは事件性を認めず 彼女が居なくなった責任は
俺にあるとでも言いたげな顔で見る
……だが 彼女は俺から逃げたんじゃない
誰かが 彼女を連れ去ったんだ
彼女が何かに近づきすぎたから
……しかし それはなんだ?

入手場所

 CHAPTER.13 ジョセフがいる部屋、台の上

考察

 セバスチャン34歳。マイラがある日突然いなくなったことに対して。

 確かに、周囲からすれば酒浸りのセバスチャンが愛想を尽かされたと考えることは当然だ。しかし、有能な現職の刑事でもある彼女が突然の姿を消したことに対し、この反応は明らかに不自然であり、後の失踪事件の捜査に対する中止命令を鑑みるに、少なくとも上層部はこの事件の真相を知っていた、ないしどこからか圧力がかかっていた可能性が極めて高い。

「彼女が何かに近づきすぎたから」とあるように、かつてはマイラの誇大妄想かもしれないとも思っていたことが、彼の中で現実味を帯びてきている。

マイラがセバスチャンの残した手紙

最愛のセバスチャンへ

あなたがこの手紙を読んでいるということは
事態は最悪の結末を迎えたのでしょう
それはつまり わたしが真相に
近付き過ぎたということ
そして あなたには二度と逢えないかも知れない
あなたに隠し続けてきたことを許して
でもそれは あなたを守るため
……事件の真相から
わたしの狂気から

わたしが調べた捜査ファイルのコピーを同封したわ
これがあなたの手に届くことがないように
願っている
でももしそうなったときには
あなたに全てを託すわ
お願い 成すべきことを行って
リリーのために
そして わたしのためにも

あなたを心から愛している

─マイラ

入手場所

 CHAPTER.14 冒頭セーブルーム付近

考察

 セバスチャン34歳。マイラから届いた最後の彼へのメッセージ。マイラの安否はわからないが、いずれにせよ、無事であるとは考えにくい。

 マイラの辿り付いた真実は明言されていないが、恐らく、マルセロの背後にいた組織=キッドが関わっていた組織と関連する可能性が極めて高い。

 そして、今までセバスチャンに詳しい話をしなかったことは、彼を守るためと書かれている。とはいえ、これを読んだとき、セバスチャンの中では「自分はそんなに頼りないのか」「本当のことを話してほしかった」という妻への想いが沸き上がったのではないだろうか。

 しかし、結果としてセバスチャンは彼女に代わり、事件の究明を託されることになった。

セバスチャンの手記 2012年12月20日

捜査ファイルが届いた後
マイラからの通信は途絶えた
この書類を上の人間に見せるべきか俺は悩んでいる
マイラが到達した結論は 怖ろしいものだった
自分の力ではどうしようもない領分までも
行ってしまうかもしれない
ただ ひとつ言えるのは リリーの死が
事故ではなかったということ

彼らもようやくマイラの失踪を事件を認めたが
俺に関わらせようとしない
俺が家族だからと言うが 俺が犯人かも
しれないとでも思っているんだろう
捜索は取りやめられた
それでも家族のために 俺はひとりでも捜し続ける

入手場所

 CHAPTER.14 セーブルーム付近

考察

 セバスチャン34歳。マイラからの捜査ファイルにより、この時点で彼はリリーの死と、妻を失踪せしめた「何か」に対しての当たりをつけている。

「上の人間に見せるべきか」「自分の力ではどうしようもない領分」とあるところから、事件の中核にいた人間は単なるチンピラではなく、下手をすると法では裁くことが難しいということが想像できる。

 本作での事件の犯人はルヴィクではあるが、そもそも彼はマルセロから資金援助や「素材(人間と思われる)」を提供され、共同研究者の立場にいたものの、自身が被検体となってしまっただけである。

 つまり、マイラが辿り付いた真実は、マルセロをビーコン精神病院の院長のポストに据え、彼らに資金援助をしていた組織と考えるのが妥当である。いずれにせよ、いち市警では太刀打ちできない相手、ということになる。

 セバスチャンはマイラの想いを引き継ぎ、連続失踪事件の捜査に乗り出すが、上層部から差し止められる。本作の物語はここから始まったと言っていい。
 

内部監査記録:カステヤノス刑事

フィ:
ここに呼ばれた理由を理解しているか?

カステヤノス:
あんたたちが いい加減な仕事を
しているからだろう

フィ:
君は職務外の捜査を単独で署のリソースを
使って行っている
さらに 恐喝・脅迫・暴力などの報告も
上がっている

カステヤノス:
証拠があるなら 銃とバッジを取り上げて
いるはずだ

フィ:
君がそれほど用心深くなければそうしていたさ
しかし君のことは ずっと“見ている”よ

カステヤノス:
それは あんたたちだけではない

フィ:
どういう意味だ?

カステヤノス:
俺を嗅ぎ回っていれば すぐにわかる

フィ:
酒浸りのままでいてくれたら余計な手間を
かけずに済むんだがね

カステヤノス:
仕事に戻りたいんだが 用は済んだか?

フィ:
……いまはな
だが君は いま薄氷の上に乗っている
ひとつでも問題を起こせば 君は消えることになる

カステヤノス:
全てが終われば 自分から消えてやるさ

<カステヤノス退室>

入手場所

 CHAPTER.15 冒頭セーブルーム 受付の上

考察

 時期不明。ただし、マイラが失踪した後と考えるのが自然。

「フィ」という人物は作中には出てこないが、恐らくはCHAPTER.6でセバスチャン自身が「内部監査」と口にした部署である可能性が高い。

 
「恐喝・脅迫・暴力などの報告も上がっている」と言われ、「証拠があるなら 銃とバッジを取り上げているはずだ」と返しているあたり、裏では相当に無茶な捜査をしていたことが伺える。また「君がそれほど用心深くなければそうしていたさ」とフィの言葉にあるので、セバスチャンは「強引な捜査を、証拠を隠滅しつつ行っていた」ということになる。ここから、彼の真相究明にかける冷徹なまでの強靱な意志を感じることができる。

 だが、CHAPTER.6のセバスチャンとジョセフのやり取りを見るに、この告発はジョセフ自身が行ったものだろう。ジョセフとしては、パートナーであるセバスチャンが酒に溺れ、自身の管轄ではない無茶な捜査をしていると知れば、彼のためを思ってこのような行動に出たことはうなずける。

 ただし、「それは あんたたちだけではない」「俺を嗅ぎ回っていれば すぐにわかる」とあるように、どうやら内部監査以外の監視が付いていたようだ。“セバスチャンの手記 2012年8月”にあったキッドに対して不信感を持ち、「観察しているように」という記述があることから、これはキッドのことと思われる。

 また、これはフィにカマをかけた──つまり、内部監査と別の組織が協力しているか否かをハッキリさせようとした可能性がある。そして、フィは「君のことは ずっと“見ている”よ」と思わせぶりなことを言っておいて「どういう意味だ?」という反応をしていることから、逆説的に「キッドが別の組織の人間である」という確信に至ったのかもしれない。とはいえ、情報量が少ないため、推測の域は出ない。

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